第9章 古代の姓(カバネ)
第9章 古代の姓(カバネ)
さて、葱韮族がらみの論点をもう一つ。
「古代の官位?カバネ(姓)について」である。
カバネ可婆根の起源は、"「株根」であろう"とされている。
君、宿禰、和気(別)、臣、連、国造、稲置、村主--------
という古い身分呼称である。
しかし何故、株根がカバネなのか?についての説明は
明確にはされて来なかった。
各氏族の出自を、氏の株別れの根本であるとして、株根と
比喩的に表現したものだろう、と言うのである。
(言う所の氏のルーツに他ならない。)しかし、これでは
定説とは言い難い。
混乱は、天孫族の元来の名前が、小月氏の葱韮族だとは
知られていないことから来るのである。もし葱韮族と
いうのであれば、葱は種子でも根子でも殖える植物なの
で、株根とは葱の根っ子の塊茎から群生する葉の様を言う
ことは、何の疑問も無く理解できる。
その例外で、「君」は「神」の訛形なので、恐らく
中央アジアでいうところの神官階層(ブラーフマン)に
相当する事が連想される。我が国の八百万神である。
天津神だけでなく国津神も含んでの呼称であろう。
宗像君の如く、ある地方全体の大きな権威を持つ豪族の
尊称である。これだけは葱韮族由来とは"直接的な関連は
ない"姓であろろう。
しかし「宿禰」は恐らく「宿根」で、根で繋がる同族を
意味するものだろうと思われる。
次なる「和気」は、まさしく株別れなので、「姓氏録」
風にいうなら、皇別になる。
そして臣は、漢字では重臣を意味するわけだが、語源は
「小身」だという。王族と比べて小身の身分だという事
か?というのは捻り過ぎの解釈であろう。
私は、黄身即ち葱の茎の黄色い部分(葉に比べて小さい身)
を表現したものと解したい。葱の根黄(ねぎ)とされる部位
の事である。根塊と葉を結合する重要な部位なのである。
臣もまた皇別氏族であろう。
ここまでが、葱韮族即ち天孫族の同族であり、従って
古代においては臣までが、王族と婚姻出来る身分であった。
(古代中央アジアの氏族では、同じ階層内の婚姻が奨励
されたからだ。血の神聖性を保持するためと言う。)
次の「連」は、黄牛族(出雲族)もしくは白馬族(秦氏)の
出身だろう。語源は「群主」(ムレアルジ)だという。
何の群かというと、部民の群の事で、連は部民の統括者
つまり伴造(トモノミヤツコ)なのである。
連は、天孫族の直系同族だとは意識されなかったので、
元来"臣下"の身分であり原則的には王族との婚姻は認め
られていなかった。
藤原氏も、藤原の氏名を賜る前は中臣連なので後宮に妃を
入れる事は出来なかった。それが藤原鎌足(と不比等)の功に
より藤原朝臣となり、皇妃を立てられるようになったのだ。
国造以下は地方官名である。多くは葱韮族由来の名では無い。
(例外的に那珂国造=多氏などがある。)